日本の海の安全を再考
海上保安資料館横浜館
今年の夏休みも横浜スタジアムでの阪神対DeNA戦を観戦してきたのだが、その試合の前に私はある場所に立ち寄った。その場所はスタジアムからすこし離れた海沿いにある、海上保安資料館横浜館である。
その名から分かるように海上保安庁が運営している資料館で、海上保安庁の活動などが紹介されている。その展示物の中で一番目立っていたのは、2001年の「九州南西海域工作船事件」に関する展示であった。この事件は、北朝鮮の工作船が九州の沖合で不審な活動(覚せい剤等の密輸と推測されている)をしている所を発見され、海上保安庁の巡視船との激しい銃撃戦の末に自爆したものである。自爆によって沈んだ船体はその後引き揚げられ、現在はこの資料館で展示されている。
実際にその船体を見ると、日本の漁船のように見せかけているにも関わらず、内部には多数の銃器類が装備され、それらを取り出しやすいようにするレールまで敷かれており、かなり実戦向けに作られているように見えた。一方、乗組員が航海中に生活するスペースはかなり狭く、窮屈を強いられていたようだった。さらに船体には至る所に銃撃戦によってできた穴が生々しく残っていて、その時の緊張感がよく伝わってきた(なお、海上保安庁の側にも、死者こそ出なかったものの、船体の損傷があった)。また、乗組員の所持品も展示され、本国との通信用の機器、食料や北朝鮮の軍人が必ず持っていると言われる金日成バッジなどがあった。
このように現代の日本の周りでこのような安全が脅かされる事態が実際に発生しているのを見ると、我が国が今のところ平和であるのは、決して当たり前ではないと感じさせられる。一般人である我々が普段そのような事を意識する機会はあまり多くないが、たまにはこういった展示を見て安全保障について考えてみることも必要だろうと思う。