歴史辿り、古きを感じる
北野天満宮特別展
平安時代の優れた政治家であり、学者であり、文学者であった菅原道真。北野天満宮は彼をまつる天神社の総本社として知られる。
京都文化博物館では、開館30周年を記念した特別展「北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流―」が開催されている。 前期と後期わけられた特別展は、全体が7つの章で構成されており、天満宮と人々との長い歴史の関わりを追っていく。
朝廷での立身栄達、藤原時平の讒言による太宰権師への左遷と失意のままの死。怨霊として畏れられ、御霊として鎮め、祀られていくまで。第二章の「北野宮創建」に展示された北野天神縁起絵巻では、菅原道真が「天神さん」として崇拝されていく壮大な物語を描く。現存する最大、最古の同絵巻の承久本( 国宝) は日本美術史上、屈指の名作であり、多くの人が足を止めて見入っていた。
第三章の「北野にみる神と仏」では、神仏習合の時代の作品を展示。室町時代の「北野曼荼羅」では、仏教にまつわる法花堂や大塔・鐘楼等の建築物のある当時の境内が描かれており、興味深い。天神が海を渡り、南宋で参禅した伝承を元に描かれた「渡唐天神像」の数々では、天神信仰と禅文化の結びつきがわかる。
後期展示(3月19日から4月14日) では、最上家が代々家宝として受け継ぎ、奉納された霊剣「太刀 銘 安綱 号鬼切丸 別名髭切」(重文)等のファン待望の名刀が展示される。
テレビで偶然知り、この特別展に訪れたという京都市在住の女性(72) は「途方もない歴史に圧倒された。日本人に生まれてよかった。もう一度来たい。」と話した。