留学生の挑戦
クローバー祭実行委員インタビュー
11月3・4日、同志社大学京田辺校地にて同志社クローバー祭が開催された。大盛況のまま幕を閉じた本祭であるが、その裏には祭りを運営するスタッフの姿があった。その中でも、スタッフの最重要職に「統括」という組織がある。統括は、スタッフ内でも一線を画した存在である。全体をとりまとめ、裏で祭りに必要な準備を進める、いわばスタッフの「核」と言って良い。今年、そんな組織のサブリーダーを務めたのは、韓国から来た一人の青年だった。

「外国人の自分が、こんな多くの人を率いていいのか、という不安はかなりありました。」宋源宰さん(生命医科学部医生命学科・二回生)は、懐かしそうに話し出した。価値観の違いゆえ、考え方が異なることも多かった。そんな自分の意見を少しでも受け入れようとしてくれる仲間の姿に、いじらしい気持ちを覚えた。その思いは、仕事に本気で向き合うにつれ大きくなった。
宋さんは韓国で生まれ育ち、韓国の大学に入学。しかし入学して二年、自分の人生に迷いが生じ、中退を選んだ。そんな中、親の一声で「留学」することを思い立つ。独自の文化や先進的な研究への興味から、日本への留学を決意。一年間日本語を勉強し、本学に入学した。
日本に来て、日本人の友達を作りたい、大きなことをしたいという思いから、クローバー祭実行スタッフの一員となった。韓国で過ごした大学生活に、十分な楽しみや充実感を感じられなかったことも理由の一つだった。積極的に活動に参加し、自分の手で0から企画を作る楽しさを知った。「皆さんが良くしてくれました。」日本語のスタッフの雰囲気に馴染むのに、そう時間はかからなかった。
1年目の任期を終え、祭りを終えた達成感や充実感とともに、全体を指揮する統括の仕事に興味を抱いた。こんな大人数の集団を率いることなど、そうできない。何事にも代えがたい経験だと考えた。
いざ上の立場になってみると、厳しいことは山積みだった。衝突する意見をまとめ上げたり、周りには見えないところで祭りの土台作りをしたりした。そんな大変な日々の中で、自分の育った土地が違う、ゆえに価値観が異なることに葛藤を覚えることもあった。
そんな宋さんの支えになったのは、スタッフの「笑顔」だった。笑顔で話しかけてくれるスタッフたちの姿と、それを見られる喜びが、悩みや不安を上書きしていった。「いろいろな葛藤があったからこそ、充実した一年になった。」今ではそんな風に考えられるようになった。
留学生ながら、大役を果たした宋さん。来年からはスタッフの役を降り、学業に専念する予定だ。「私は留学生ですから、勉強しないと。」笑顔で話す姿に、スタッフとしてやり残したことはなさそうだ。
最後に、目を細めて語ってくれた。「少し厳しいことを言うと、韓国の留学生の皆さんにはもっと頑張ってほしい。辛いこともたくさんあると思う。でも、留学という体験はほとんどできないから。日本人との出会いを大切にして、ぜひ頑張ってください。」大きな壁を越えた人間の、力のある言葉と声だった。