【局員日記】2018年12月号
ネット社会になって久しい。一昔前までコンピューターすら普及していなかったにもかかわらず、今では当たり前のようにパソコンやスマートフォンなどを使って家族や友人と連絡を取ったり、SNSを使って情報を集めたり、発信したりする。
そんなデジタル化した社会の中で入学後、誘われるがままに入局した新聞局に気付けばもう2年もいる。この2年間、先輩方と一緒に新聞制作に携わらせてもらっていたが、自分自身も含め同年代は特にネットを中心に生活しているということを痛感する。日頃の何気ない会話でも基本ヤフーニュースやツイッターを情報源にして話す。正直、新聞を読んで情報を得る機会は減った。世の中でも若者の新聞離れが叫ばれ始めている。
そんな状況の中で新聞、まして学生新聞を作ることに意味はあるのだろうかと考える機会が増えた。いっそ新聞を全面デジタル化するか、局の名称ごと変えてSNS研究会にした方がやりがいが出るのではないかと真剣に議論したこともある。もう学生新聞を作るのは厳しいと思っていた。
12月6日、日本など世界11か国で大規模な通信障害が同時発生した。私自身も携帯電話が何時間にもわたって圏外になりSNSなどが使えず大変困った。その時、ふとネット社会の怖さを見た気がする。今、情報だけでなく電子決済など多くのものがデジタル化している。しかし、それが事故またはサイバーテロなどで使えなくなれば、我々は今のネット社会で途端に無力になってしまう。実際、ネットに依存している自分は何も出来なかった。
だが、紙媒体である新聞はこの影響にさらされることはない。形として残る物だから永久的に見る事も可能だ。そう考えると作る意欲が少しわいてきた。
今、部室には先輩方が作った過去の新聞がたくさん置いてある。それら一つ一つを手に取って見ることができるのは、新聞という形式の恩恵だ。本局は2年前にツイッターで記事を発信するようになった。
今ある物と組み合わせて新聞をさまざまな形で発信していきたい。そのためには精力的に取材しなければならない。
局長に就任し慣れない日々を送っているが、先輩方の作ってきた伝統を守りながら、より良い新聞を局員全員で作っていければと思っている。(2018年12月号紙面に掲載)