合同シンポジウム開催

『子育てと良心』

11月29日、本学今出川校地礼拝堂にて、同志社良心学研究センター・赤ちゃん学研究センターの合同シンポジウムが開催され、『子育てと良心』をテーマに講演、パネルディスカッションが行われた。
今回が2回目となるこの合同シンポジウムでは本学の創始者である新島襄の時代から重んじられてきた「良心」がどのように形づくられるのかを二人の講演者が論じた。
1人目の講演者は、同志社女子大学現代社会学部現代子ども学科教授・塘利枝子氏だ。
塘氏は「小学校教科書の中に『良い子』はどのように描かれてきたかー文化・歴史的考察からー」というテーマで、子どもの価値観の形成に大きく関わる小学校の国語の教科書を用いて、各国の「よい子」像、各時代の「よい子」像の変化についてそれぞれ比較分析しながら論じた。塘氏は日本の教科書における家族の描き方には多様性がないことを指摘し、家族の形が多様化する現代・次世代の教科書にはその多様性を描く必要があると語った。
2人目の講演者は、京都大学霊長類研究所教授・友永雅己氏だ。友永氏は「チンパンジーの子育て ー比較認知発達化学の視点からー」というテーマで、ヒトに最も近い種であるチンパンジーが発達する過程や子育てを紹介し、共通点や相違点を比較しながら論じた。また、チンパンジーを人間が育てる人工保育によって飼育下のチンパンジーが育児困難に陥る「負のスパイラル」を紹介し、チンパンジーの子育ての問題点を明らかにした。
2名の講演の後にパネルディスカッションが行われた。司会は本学赤ちゃん学研究センター准教授・松田佳尚氏、パネリストには塘氏、友永氏の他、本学心理学部心理学科博士後期課程教授・内山伊知郎氏、本学神学部教授・小原克博氏、本学赤ちゃん学研究センター准教授・加藤正晴氏を迎え、子育てと良心の密接な関係について議論された。小原氏はシンポジウムの最後に「新島襄が『良心教育』を目指したように、規範性だけを重視していては良い世の中には
ならない。自由をもって考えることが大切である。今回のシンポジウムで結論を出すことはできないが、子育てと良心について議論する良い機会となった」と締めくくった。
今回のシンポジウムに参加した大阪府在住の20代女性は、「人間の子育てとチンパンジーの子育てをリンクさせて考えた時に、共通の問題点があることが興味深かった。家族の形が多様化する現代は人間もチンパンジーも子育ての方法を学ぶべきだと感じた」と語った。
2019年にも本学で「赤ちゃん学」と 「良心学」の2分野で定期セミナーと公開シンポジウムが行われる。この機会にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

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近日開催予定のイベント
・良心学研究センター・公開シンポジウム「AI・ロボット時代における良心」
2019年1月17日(木) 16:40-18:40
本学 今出川キャンパス 同志社礼拝堂にて
※入場無料・事前申し込み不要

・赤ちゃん学研究センター・第14回 定期セミナー
2019年2月開催予定
赤ちゃん学研究センターにて
※入場無料・事前申し込み不要
※詳細は2019年1月頃、赤ちゃん学研究センターホームページに掲載予定