日本が愛した「クイーン」

映画『ボヘミアン・ラプソディ』レビュー

これほど日本に愛されたロックバンドは他にいまい。映画『ボヘミアン・ラプソディ』は11月9日の公開以降、興行収入が4週連続で右肩上がりとなっている。国内興行収入は累計で33億円を突破、累計動員数も250万人に迫る勢いだ。

クイーンは「黄金期」を迎える前から日本で愛されていた。1975年の初来日のとき、日本ファンからの思わぬ熱烈な歓迎に感動し、むしろメンバーが親日家になったというエピソードが有名である。当時いくつかヒット曲を飛ばしてはいたものの、未だ本国の音楽評論家からの評価は芳しくなかった。そんな中受けた歓迎がよほど嬉しかったのだろう。CMなどに曲を使う際も、日本からの依頼にはとても寛容だ。知らず知らずのうちに耳になじんだ曲がクイーンの曲だと後で知った、という人も多いのでは。

ボーカルのフレディ・マーキュリーの没後も、2004年の木村拓哉主演のドラマ「プライド」の主題歌にクイーンの楽曲が使われたことで人気が再燃。「第二次クイーンブーム」が巻き起こった。『ボヘミアン・ラプソディ』による人気は「第三次クイーンブーム」とでも言えるだろう。

なにしろ「伝説的バンド」の映画だから、今までクイーンを知らなかったという人でも、聞き覚えのある曲が必ずある。ファンはもちろん、初心者でも安心して観ることができる。

日本がほんの少ししか出てこないのが残念だが、それを補って余りあるクライマックスが用意されている。見たらきっと後悔するだろう。「あと40年早く生まれていれば」と。